皮膚科このページを印刷する - 皮膚科

皮膚科は、皮膚に生じる病変を“視て、さらに観て、そして診て看る”診療科です。視てすぐ判ることがほとんどですが、ときに視てもわからないときもあります。どのような場合もしっかりと診て看ることのできる皮膚科専門医として、患者さんに医療を提供したいと考えています。

当院では一般皮膚科診療に加えて、顔面等に生じてくるイボの中に紛れて生じてくる皮膚癌の早期発見および治療にも力をいれております。

顔面のいぼについて
加齢に伴い顔面にいわゆるイボが多発することは珍しいことではありません。ほとんどは良性ですが、その中に皮膚癌がまぎれている場合があります。

顔面に好発する代表的な皮膚良性および悪性腫瘍

皮膚科1

脂漏性角化症(図1A)

老人性疣贅とも呼ばれ、加齢に伴い顔面に多発することも多い良性腫瘍です。

数mm~2cm程度の境界明瞭で褐色~黒褐色の扁平隆起性局面・結節で、表面は角化性で皮膚に粘土細工を貼り付けたような症状を示します。

日光角化症(図1A)・有棘細胞癌(図1B)

日光角化症は有棘細胞癌という皮膚癌の早期病変です。高齢者で顔面頭部に多発する傾向があり、病変に気がついても緩徐な進行のため放置されがちです。しかし急速に増大し有棘細胞癌となり転移することもあります。

日光角化症の症状は角化性丘疹・小結節、角化性紅斑局面、びらん・潰瘍などであり、皮膚科医以外が理解しやすく記載すると、“赤みのあるやや盛り上がったかさつきのあるイボ”や“きっかけもなくできた赤いイボや傷”と言えます。
有棘細胞癌は日光角化症より大きな結節となる傾向があります。

基底細胞癌(図1C)

高齢者に多く生じる一見ホクロのようにもみえる光沢を有する黒色病変です。顔面・頭部・頚部で全体の85%を占めます。
転移は稀ですが、長年放置すると骨などの深部組織を破壊し、治療が難しくなります。

診断方法

皮膚科2

ダーモスコピー検査(図2A)

光線で皮膚を照射し10~20倍の拡大像を観察する非侵襲性の診断器具です。脂漏性角化症や基底細胞癌の診断に非常に有用で、高い診断感度が得られます。

図2B(臨床写真)とC(ダーモスコピー写真)は当科の基底細胞癌症例です。

皮膚生検・病理組織検査

局所麻酔下に病変をトレパン(図2D)と器具を用いて簡便に短時間で皮膚を採取できる皮膚生検を行い、病理組織検査により良悪性の診断や、皮膚癌の場合は手術時の切除範囲を決定するための大事な検査です。

治 療

経過観察

病期の種類や程度によっては定期的な軽観察を行います。

手術療法

皮膚癌に対しては現在最も確実な治療法です。脂漏性角化症などの良性腫瘍では腫瘍辺縁ぎりぎりで、前癌病変である日光角化症では1~3mm、有棘細胞癌では4~10mm、基底細胞癌では3~10mmの腫瘍辺縁から離して切除することがガイドライン等にて推奨されています。

外用療法(日光角化症治療)

皮膚科3
ベセルナクリーム®という薬剤で治療します。週に3日外用を1ヶ月間施行後、1ヶ月の休薬期間後、必要に応じて再度1月間施行します。

副反応として、図3のような紅斑・びらん・表皮剥離などの局所皮膚反応が挙げられます。

顔面のイボに対するセルフアセスメント:自己評価

病期の種類や程度によっては定期的な軽観察を行います。
  1. 他のイボに比べて急に大きくなったものはないですか?
  2. 他のイボに比べて黒みのつよいものはありませんか?
  3. 他のイボに比べて赤いものはありませんか?
  4. きっかけなく生じた治りにくい傷はありませんか?

以上の項目に一つでも当てはまる場合には当院をはじめ、皮膚科専門医を受診されると良いと考えています。

医師紹介

皮膚科医師

橋本 明子(はしもと あきこ)

専門分野
皮膚科一般
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医


池田 宏器(いけだ ひろき)

専門分野
皮膚科一般