研究検査科このページを印刷する - 研究検査科

 研究検査科は、患者さんから採取した血液・尿・組織などの試料を検査する検体検査と心電図・呼吸機能・脳波検査など患者さんと直接接する生理検査を行っています。また院内感染対策、糖尿病療養指導、栄養管理などのチーム医療にも参加しています。

 当院は県内周産期医療の中核病院であるとともに救急医療を担う病院であり、検査内容をさらに充実させることはもちろんのこと365日24時間検査体制をとっています。

スタッフ紹介

研究検査科スタッフ 構成

研究検査科長 1名  臨床検査技師長 1名  副臨床検査技師長 1名
主任検査技師 4名  臨床検査技師 5名  臨床検査技師(非常勤) 1名
 

認定資格

超音波検査士(循環器) 3名  超音波検査士(血管) 2名  超音波検査士(消化器) 2名
認定輸血検査技師    1名  認定血液検査技師   1名  認定一般検査技師    2名
2級臨床検査士(微生物)2名  NST専門療法士    1名
緊急臨床検査士     4名  救急検査認定技師   1名
細胞検査士(国内)   2名  細胞検査士(国際)  2名  臨地実習指導者     1名

検体検査

一般検査部門

一般検査では、主に尿検査や便潜血検査を実施しております。尿検体や便検体は血液検査とは異なり、採血の必要がありません。採取に痛みを伴わず(非侵襲的)簡単に採取でき、繰り返し検査が行えるのでスクリ-ニング検査として、健康診断などに用いられています。

一般検査部門

【尿検査】尿定性、尿沈渣、妊娠反応

尿定性検査では、尿中の蛋白・糖・潜血・白血球などの成分を、尿沈渣検査では、尿に含まれている細胞や成分を顕微鏡で詳細に調べます。これらの検査結果から腎臓や膀胱の病気、糖尿病などの病態の把握や診断の補助に必要となります。


【便検査】便潜血、便中好酸球

便潜血検査は消化管の出血性病変の有無を調べ、大腸癌や腸の炎症性疾患のスクリ-ニング検査になります。便中好酸球検査は、新生児や乳児のアレルギ-性胃腸炎の補助検査として有用です。


【穿刺液検査】髄液、胸水、腹水、羊水など

髄液検査は、中枢神経の感染症である髄膜炎、脳腫瘍、くも膜下出血、脳水腫などに有用で、含まれる細胞・蛋白・糖などを検査します。それ以外の穿刺液も同じように細胞や成分を調べます。


【その他】アプトテスト

アプトテストは、新生児の吐物や便に血液が含まれていた場合、新生児自身の消化管出血によるもの(新生児メレナ)なのか、あるいは、出生時に飲み込んだり、授乳時に乳首が切れて母乳に混じって嚥下された母体血(仮性メレナ)なのかを鑑別する検査です。


血液 ・凝固検査部門

【血液検査】

血液中の白血球数・赤血球数・血小板数・ヘモグロビン濃度などを測定しています。
 

血液検査

白血球は異物の侵入に対抗して体を守る働きをしており、好中球、リンパ球、単球、好酸球、好塩基球に分類されます。病気によって増減する白血球の種類が変わるので病気や症状を知る手がかりになります。また、顕微鏡による形態観察を行い、白血病などの血液疾患を発見することもできます。

赤血球やヘモグロビン濃度を調べることで貧血の有無を確認できます。

血小板は血管に傷ができると直ちにふたをして血を止める働きをしています。血小板の数が減少したり、機能が低下したりすると血が止まりにくくなるため、出血傾向の判定などに用いられます。
 

【凝固検査】

凝固検査


血液中の出血を止める働き(凝固)と一度固まった血液を溶かす働き(線溶)を検査します。手術前検査や血液を固まりにくくする薬(ワーファリン、ヘパリンなど)の治療効果判定に重要な検査です。

生化学 ・免疫血清検査部門

生化学部門

 生化学検査では血液を用いることで、体内の酵素、脂質、含窒素成分、無機質などを測定します。酵素には、肝臓・心臓・筋肉の細胞に多く含まれているAST、肝臓に多く含まれているALT、肝臓・胆道の病気で異常を示しアルコール性肝障害でも高値を示すγ-GT、心筋梗塞などの心臓の病気で高くなるCK等があります。脂質には健康診断でも馴染みのある、総コレステロール、HDL-C(善玉コレステロール)、LDL-C(悪玉コレステロール)、中性脂肪等があります。含窒素成分には、腎機能の指標となるクレアチニンや尿素窒素、プリン体が分解されてつくられ痛風の指標になる尿酸等が該当します。

 免疫血清検査では、感染症に関する検査、腫瘍マーカーに関する検査、ホルモンに関する検査を行っています。感染症に関する検査では、主に肝炎ウイルスについて検査しています。肝炎にはA型、B型、C型等の種類があり、型に応じた検査を行っています。腫瘍マーカーに関する検査はがんを発見するためのスクリーニングとして、また、治療効果やがんの再発状況を確認するために行われます。肝臓の癌ならAFP、前立腺の癌ならPSA、胆のうや胆管の癌ならばCA19-9やCEAを検査します。ホルモンに関する検査では主に甲状腺ホルモンであるTSH、FT-4、FT-3を検査しています。甲状腺ホルモンは体の発育に関与し、全身の新陳代謝を活発にする作用があります。

 これらの項目を組み合わせることで病気の診断や治療効果判定の補助として役立っています。

輸血検査部門

輸血検査


輸血検査部門では、安全で適正な輸血療法が行われるために必要な検査や、輸血用血液製剤の適切な条件での保管・管理等の業務を、臨床検査技師が24時間体制で行っています。
自己血輸血のための、自己血の保管・管理も行っています。

 

【輸血検査】

輸血用血液製剤が患者さんに適合するかを調べる検査で、1. 血液型検査 2. 不規則抗体検査 3. 交差適合試験があります。迅速で正確な検査を行うため、自動輸血検査装置を採用しています。
 

  1. 血液型検査
    ABO血液型、Rh(D)血液型を検査します。輸血において最も重要な血液型です。
    輸血の際には、1回目とは異なる時点で採血された最新の血液で再度血液型検査を行い、患者さんと同じ血液型を輸血します。
  2. 不規則抗体検査
    不規則抗体とは、ABO血液型以外の血液型に対する抗体のことで、過去の輸血や妊娠によって産生されることがあります。輸血副作用の原因となるため、輸血前に不規則抗体の有無を確認します(スクリーニング検査)。
    不規則抗体がある場合は、抗体同定検査を行い、適合血(同定された抗体に対する抗原を持っていない血液)を入手するように努めます。
  3. 交差適合試験
    患者さんの血液と輸血する血液の適合性を確認する検査です。

【輸血用血液製剤の保管・管理】

献血された輸血用血液製剤(同種血)を血液センターに発注し、必要数を在庫しています。 製剤の種類別に適切な温度で保管する必要があるため、輸血検査室の専用保冷庫・冷凍庫にて24時間温度管理して品質を保持しています。
血液製剤の入出庫や在庫管理は輸血部門システムで行い、患者さんの輸血検査歴、輸血歴などのデータを保管しています。
 

【自己血輸血(自己血の保管・管理)】

自己血輸血は、同種血輸血による輸血後感染症や副作用などを回避できる、より安全な輸血です。
対象となるのは緊急を要しない待機的手術で、輸血が必要と予測される場合や稀な血液型、不規則抗体陽性の患者さんで、手術前に自己の血液を予め採血(貯血)し保存しておき、 必要時に輸血を行います。
 

細菌検査部門

細菌検査とは感染症の原因となっている微生物を特定し、治療に有効な抗菌薬は何かを調べる検査です。感染症の原因となる微生物には細菌・真菌(カビ類)・原虫・ウイルスなどがありますが、その中でも特に細菌と真菌を中心に検査しています。また、インフルエンザウイルスやアデノウイルスなどの迅速検査も行っています。
ICT(感染対策チーム)にも参加し、院内感染対策にも携わっています。
 

顕微鏡検査

検査材料をガラス板に塗抹し、染色して菌を顕微鏡で観察します。

顕微鏡検査
 

培養・同定検査

菌が発育するために必要な栄養を含んだ寒天(培地)に検査材料を接種し培養します。菌は非常に小さいため肉眼では見えませんが、培養し菌を増やすことで目に見える形(コロニー)となり肉眼で観察できるようになります。
同定検査はこのコロニーを用いて菌の性状を確認し、菌種を決定します。

培養・同定検査
 

薬剤感受性検査

検出された菌に対してどのような抗菌薬が効くのかを調べる検査です。治療に使用する抗菌薬の選択や耐性菌の検出を目的としています。

 

迅速検査

迅速検査


インフルエンザウイルスやアデノウイルスなどは専用のキットを用いることで、培養を行わなくても直接ウイルスの有無を確認することができます。

検査時間は十数分程度です。

病理 ・細胞診検査部門

細胞診は、臓器表面から剥離した細胞、痰や尿など排出物に含まれる細胞、腫瘤を細い針で刺して採取した細胞などを顕微鏡で観察して、がん細胞がいるかどうかを調べる検査です。比較的侵襲が少なく、複数回の採取が可能であるという利点があり、次に述べる病理組織検査とともに確定診断に重要な役割を担っています。

病理組織診断は、患者さんから採取した組織や臓器をその構造を保ったままスライドガラス上で染色し、顕微鏡で観察して、腫瘍性病変(良性 or 悪性)や炎症性病変の診断を行います。診断の確定のみならず治療方針の決定に不可欠な検査です。

生理機能検査

生理機能検査

心電図、肺機能など検査ごとに各部屋に入室いただき、臨床検査技師が各種検査を実施いたします。
検査内容により所要時間は異なります。

【心電図検査】所要時間約5~10分

心電図検査

心臓の活動により生じる電気的な信号を波形として記録します。不整脈や心筋梗塞、狭心症などの心臓の異常を調べる検査です。


<標準12誘導心電図(安静時)>
両手首、両足首、胸部に電極を装着し、心臓からの電気的信号を12本の波形として記録することで、不整脈や心筋梗塞などを捉えることができます。

<負荷心電図>
安静時心電図記録後、階段昇降を行い、運動負荷後の心電図を記録することにより、労作時の心電図変化を捉えます。

<ホルター心電図>
携帯型心電計を胸部に直接装着し、24時間心電図を記録します。日常生活での不整脈や虚血の出現、睡眠中、有自覚・無自覚の心電図変化を検出、解析する検査です。
 

【血圧脈波検査】所要時間約5~10分

血圧脈波検査(ABI)とは両側上下肢の血圧を測定することで、血管の狭窄や閉塞を調べる検査です。同時に動脈硬化の程度も知ることができます。

 

【呼吸機能検査】所要時間約5~10分

肺機能測定


肺活量・一秒率などを測定し、喘息・肺気腫などの肺疾患、肺機能の診断をします。手術適応や労作能力の判定なども調べます。

 

【脳波検査】所要時間約40~60分

脳から生じる微弱な電気的信号を記録する検査です。てんかんや頭部外傷、脳血管障害の診断に重要な検査です。予約検査です。

 

【新生児聴力検査】所要時間約5~10分

AABR装置


自動聴性脳幹反応検査(AABR)で、自然睡眠下の新生児に一定の音を聞かせ、脳幹から出る微弱な反応を検出し、判定します。