泌尿器科
尿が出にくい、尿がもれる、尿が近い、尿に血がまじる、排尿時に痛みがあるなど排尿に関することは何でもご相談ください。
泌尿器科について
泌尿器科疾患全般にわたって診療をしており、悪性腫瘍、良性腫瘍、尿路結石については積極的に手術治療を行っています。それぞれの手術についても最先端の手術機器を導入し、安全かつ患者さんの負担が出来る限り少なくなることをモットーとしています。
また、腎癌や膀胱癌などの悪性腫瘍に対しては診療ガイドラインに準じて推奨度の高い薬剤を採用し、外来及び入院にて化学療法を行っています。
また、腎癌や膀胱癌などの悪性腫瘍に対しては診療ガイドラインに準じて推奨度の高い薬剤を採用し、外来及び入院にて化学療法を行っています。
尿路結石の診断と治療
尿路結石そのものは良性疾患ですが、症状は無症状な方、疼痛のため七転八倒し救急搬入される方、感染症を合併し生命の危機に陥る方まで多様です。
症 状
突然生じる腰背部~下腹部痛が特徴的な症状で、肉眼的血尿はないこともあります。
診 断

CTは結石の部位・大きさの診断だけではなく、腎臓の腫れ(水腎症の程度)、感染症の有無、結石の硬度までチェックができますので最有用な検査と考えています。
治 療
まずは痛みに対し鎮痛剤を投与します。
結石が小さく、痛みも改善すれば、自然に結石が流れるのを待ちます。結石が大きかったり、痛みが改善しない場合は手術をお勧めします。
結石が小さく、痛みも改善すれば、自然に結石が流れるのを待ちます。結石が大きかったり、痛みが改善しない場合は手術をお勧めします。
尿路結石に対する手術方法
1)ESWL(体外衝撃波砕石術)

当院もスイスストルツメディカル社製ESWL装置を導入し治療を行っており、現在も多くの患者さんが治療を受けておられます。
しかし内視鏡治療に比べ、砕石能力がやや劣る印象で複数回治療が必要な場合があります。また結石の種類や場所によっては治療できないことがあります。
2)TUL(経尿道的腎尿管砕石術)

当院では2012年から本治療を導入し、約200人の患者様が治療を受けられております。
前立腺肥大症に対する新しい手術
前立腺肥大症は加齢に伴う良性過形成疾患です。前立腺が肥大することによって尿道の一部が閉塞するため、主に排尿障害(排尿が出にくい、排尿に時間がかかるなど)が主体の病態ですが、患者さんによっては蓄尿障害(頻尿や尿意切迫など)がみられることもあります。前立腺肥大(尿道閉塞)が進行し、排尿障害が顕著になると、残尿が生じ、頻尿・膀胱結石・尿路感染・尿閉・水腎症発生と多くの合併症のリスクが高まります。
前立腺肥大症は加齢に伴う身体変化ですので、50歳を超えるころから「若い時みたいにおしっこがドバーッと出なくなった!」とお嘆きの方は多いと思います。
おしっこが出にくくなって、生活の質の低下や、悩みの種になるようなら治療の適応です。
前立腺肥大症の治療の第一歩は約40年前に開発されたα1遮断薬(タムスロシン・シロドシンなど)で尿道の緊張を緩めることです。最近では5α還元酵素阻害剤(デュタステリド)が登場し肥大した前立腺をある程度は縮小させることも可能になりました。
前立腺肥大症は加齢に伴う身体変化ですので、50歳を超えるころから「若い時みたいにおしっこがドバーッと出なくなった!」とお嘆きの方は多いと思います。
おしっこが出にくくなって、生活の質の低下や、悩みの種になるようなら治療の適応です。
前立腺肥大症の治療の第一歩は約40年前に開発されたα1遮断薬(タムスロシン・シロドシンなど)で尿道の緊張を緩めることです。最近では5α還元酵素阻害剤(デュタステリド)が登場し肥大した前立腺をある程度は縮小させることも可能になりました。

ちなみに膀胱・前立腺・尿道の解剖学的構造や前立腺肥大のイメージは図1で示す通り、前立腺をミカンに例えると解りやすいかと思います。
肥大するのはミカンの果実の部分で(皮の部分ではありません)、その中央部を通る尿道は果実(前立腺腫)が肥大すると、引き伸ばされた上、周囲の果実(前立腺腫)から圧迫され相対的に閉塞(図では黄色の矢印を排尿に見立てています。)してしまいます。
(イメージでは無理やり小ぶりのミカンと大きなグレープフルーツを貼り付けてみました。グレープフルーツの方は尿道が閉塞し、尿線が細くなっています。)
薬が効かなければ手術療法の出番です。手術の基本は「グレープフルーツ」で示したところの「完熟した果実の部分(肥大した前立腺)」が尿道閉塞の原因ですので、この「果実の部分」だけを外科的に減じることが基本です。太古の昔は、開腹して、グレープフルーツの皮を開いて、中の果実を丸ごと摘出していました(もうさすがにどこの泌尿器科医もやらなくなった手術ですが、理屈からすると一番すっきりする手術です。筆者個人の感想です。)40数年前から、しばらくは高周波電気メスによる経尿道的前立腺切除術(いわゆるTUR-P)が主流の手術でした。TUR-PはGold standard 手術と言われていますが、前立腺部尿道の内腔からループ状の電気メスで少しずつ前立腺を「かんな掛け」するように削り取っていきますので一回かんなを掛ける(組織片を切除する)ごとに果汁(出血)がほとばしり、術中・術後の出血が問題でした。特に術中はずっと出血(吹き出す果汁)との戦いで、出血をコントロール下において、ある程度果実を削り取っていくのは手術医も一定の経験や技術が必要でした。
ここ10年は出血覚悟で前立腺を削り広げるのではなく、レーザーを利用してできるだけ出血を抑えながらTUR-Pと同等に前立腺部尿道を拡大する手術が認可されてきました。
レーザーを利用した前立腺肥大手術はいくつかありますが、2023年6月から当院が導入した接触式前立腺レーザー蒸散術はTUR-Pと同じように膀胱鏡下に高温を発生させるレーザー照射端子を前立腺内腔にあて、前立腺細胞の水分を一瞬で沸騰・蒸散させ、微小血管も蒸散・熱変性させることで手術中の出血を避けることができます。(図2)
ここ10年は出血覚悟で前立腺を削り広げるのではなく、レーザーを利用してできるだけ出血を抑えながらTUR-Pと同等に前立腺部尿道を拡大する手術が認可されてきました。
レーザーを利用した前立腺肥大手術はいくつかありますが、2023年6月から当院が導入した接触式前立腺レーザー蒸散術はTUR-Pと同じように膀胱鏡下に高温を発生させるレーザー照射端子を前立腺内腔にあて、前立腺細胞の水分を一瞬で沸騰・蒸散させ、微小血管も蒸散・熱変性させることで手術中の出血を避けることができます。(図2)

当院でも50症例を超える手術を行いましたが、ほとんどの方でTUR-Pと同程度の排尿改善が得られ、出血に関しても、手術中・術後に緊急止血処置や輸血を要した症例はありません。残念ながら長期間尿閉(自己導尿やカテーテル留置)が持続している症例は、期待した効果が得られないケースもあります。つきなみですが、早め早めの対応が肝要なようです。
参考までに図3にTUR-Pとレーザー蒸散術の当院手術症例の術中写真を提示しています。下段のレーザーの方は出血なく前立腺部尿道が開大しています。上段のTUR-Pの症例も視野は良く、出血は少ない方です。(そもそも出血の多い手術の静止画を提示するのは至難です!真っ赤だけの写真になります。)
最後に前立腺肥大症に対する手術の適応については、定まった基準はありませんが、投薬でも排尿障害が改善しない、尿閉になったことがある、残尿が発生している、膀胱結石がある等が検討時期と考えています。麻酔は基本的には腰椎麻酔、鎮静で行いますので、それに耐えうる年齢・健康状態・心肺機能は必要です。
参考までに図3にTUR-Pとレーザー蒸散術の当院手術症例の術中写真を提示しています。下段のレーザーの方は出血なく前立腺部尿道が開大しています。上段のTUR-Pの症例も視野は良く、出血は少ない方です。(そもそも出血の多い手術の静止画を提示するのは至難です!真っ赤だけの写真になります。)
最後に前立腺肥大症に対する手術の適応については、定まった基準はありませんが、投薬でも排尿障害が改善しない、尿閉になったことがある、残尿が発生している、膀胱結石がある等が検討時期と考えています。麻酔は基本的には腰椎麻酔、鎮静で行いますので、それに耐えうる年齢・健康状態・心肺機能は必要です。

医師紹介
泌尿器科医長
髙木 紀人(たかき のりと)専門分野
泌尿器科一般
泌尿器科指導医・専門医、 臨床研修指導医