放射線科このページを印刷する - 放射線科

放射線科で行う画像による診断は、多くの疾患で診断の根拠となる重要な証拠です。必要最低限の検査で、正確な診断にたどり着けるよう心がけています。
第二診療部長  岡田秀樹


放射線科には医師 3 名(内非常勤1名)、診療放射線技師 9 名、事務員2名が在籍、また、複数名の外来看護師が業務しています。

放射線科医師の業務は一般の方には馴染みが薄いと思いますが、超音波検査(エコー)、胃や大腸の透視検査、血管造影や生検などの検査を施行しています。また、当院で撮影される 全ての CT や MRI などの画像検査に所見作成(検査結果を文章で主治医に報告すること)を行っています。通常の外来診察は行っていませんが、近隣の病院、医院、診療所などから 紹介いただいた患者さんの検査、その結果報告も行っています。

診療放射線技師の業務は、X 線撮影、乳房撮影(マンモグラフィ)、CT 検査、MRI 検査、核医学検査などの撮影業務全般と放射線治療を行っています。また、超音波検査(乳腺、頸部血管)では検査と所見作成を行っています。そして各種造影検査、血管造影検査では、医師、看護師と協力し検査を遂行しています。

看護師の業務は、CT検査、MRI検査での注射や、検査において患者さんの介助を行い、これらの検査が円滑に行われるよう医師や技師をサポートしています。事務員の業務は、患者さんの受付や電話での対応をしています。

放射線科で行う主な検査は、X線撮影、骨密度検査、CT検査、MRI検査、造影検査(胃・尿路・胆道など)、血管造影検査、乳房撮影検査(マンモグラフィ)、超音波検査、核医学検査(RI検査)、放射線治療などがあります。それぞれの検査の内容については、下記をご参照ください。

放射線科での検査紹介

一般撮影

一般撮影

X線撮影(一般撮影)とは胸部や腹部、そして全身の骨など、X線を用いて撮影する検査で、人体に入るX線と出てくるX線の強度比が組織により異なることを写真のコントラストとして画像にしています。

当院では画像処理装置として FPD(Flat Panel Detector)を中心に一部 CR(computed radiography)を用いて、いつも安定した画像を提供しています。
一般撮影2

乳房 X 線撮影装置(マンモグラフィ)

専用の X 線撮影装置で乳房の撮影を行います。乳がんをはじめ、乳房にできる様々な乳腺疾患を見つけることが出来ます。特に、手に触れない《しこり》や《微小石灰化》などの非触知乳がんを描出することが出来ます。

また、当院のマンモグラフィ装置は、1 回の撮影で任意の高さの断層像を作ることができ、従来のマンモグラフィ画像では、乳腺の重なりに隠れて見えにくかった病変を見つけることが容易になります。
マンモグラフィ
乳がんの早期発見のためにも定期的にマンモグラフィ検診を受けましょう。

骨密度測定

X線骨密度測定装置 PRODIGY(GE社)が導入されました。この装置は骨粗しょう症の診断、治療の為、骨折リスクの高い腰椎正面、大腿骨などの検査に対応した装置です。一部位最速30秒以下、連続測定ワンスキャン機能で、5分以内で痛みもなく患者様の負担を少なく検査が可能となっています。X線による被ばくも胸部レントゲン撮影の約6分の1程度と低被ばくでの撮影となっています。
骨密度測定

CT検査

CT検査
当院では 64 列の MDCT で検査を行っております。MDCT(マルチディテクターCT)は、短時間、広範囲、高度、高精細に検査を行う事が出来ます。

従来は最も薄くて1mm でしたが、0.35mm まで薄く撮影することが可能となり、従来より高精細な画像を得ることが出来ます。これに伴い通常の断層像以外に任意の3次元画像を得ることができ、病変の位置、形状、範囲が詳細に観察する事が出来ます。また当院ではワークステーション(ZIO)を導入しており、より詳細な3D 画像を作成することが出来ます。
CT検査

MRI検査

MRI検査

MRI(磁気共鳴画像)とは、磁石と電波を用い、人体中に含まれる水分(水素原子核)からMR信号(共鳴電磁波)を放出させます。
このMR信号を受信コイルによって検出し、コンピュータ処理により断面の画像として構成する検査です。

2021年8月23日からキヤノンメディカルシステムズ株式会社製「Vantage Orian」が稼働しております。
磁場強度1.5T(テスラ)、開口部(患者様が筒に入る直径部分)が71cmと広く、また、最先端の高画質化技術(Ai 機能)、ガントリーの静音化機構などの新機能の搭載により、より快適に、より良い画像の撮影が可能となりました。
MRI検査

より安全に

安全な検査を施行するうえで、金属探知機の活用は大きな割合を占めています。
今回導入した磁性体探知機(写真参照:ゲートタイプ仕様)は、磁力を含むものに反応するタイプのもので、危険度に合わせ、ゲート先端の色が青から黄、赤と変化し、音声でも危険を知らせるメッセージが発せられます。
MRI検査3

血管造影検査(アンギオグラフィー)

血管造影検査
血液造影検査(angiography)とは、一般に X 線写真では観察できない血管系に対して、検査や治療を行うものです。当院では、オートデジタル血管撮影装置(GE 社製 Innova IGS 540)が稼働しております。

検査は、主に大腿部の血管(または上腕部の血管)を局所麻酔下に穿刺したのちカテーテルを目的部位まで選択的に進めます。そして造影剤を注入して DSA 装置にて連続撮影を行い、検査・治療を進めていきます。

当院では、腫瘍血管塞栓術(TAE)やカテーテルからの抗がん剤治療である肝動注化学療法などの血管IVRの他に、経皮的胆道ドレナ―ジ(PTCD)や経皮的膿瘍ドレナ―ジなどの非血管 IVR も行なっています。
血管造影検査2

造影検査

造影検査


この検査は、X線テレビ室で行われます。

造影剤による胃や腸などの消化管透視検査をはじめ、泌尿器造影、産婦人科の子宮卵管造影、整形外科の脱臼整復、肩や膝などの関節造影や椎間板ヘルニアにおける脊髄腔造影(ミエログラフィー)、あるいは内視鏡(ファイバースコープ)を用いた ERCP 検査など多くの検査を行っています。
造影検査

超音波検査(エコー)

MRI検査


人間の耳に聞こえない高い周波数(数 MHz~数十 MHz)の音を超音波といいます。

超音波を身体に送信し、各臓器からの反射波を画像化することを超音波検査といいます。身体の断面画像だけでなくリアルタイム動画を得ることが出来ます。
エコー

マンモトーム生検

組織を採取する生検法のひとつで、乳房内の病変の組織を超音波画像やマンモグラフィを見ながら3~5mmの針で吸引・採取する検査のことをマンモトーム生検といいます。採取した組織は顕微鏡で観察し、診断を行うための病変の良悪性判別材料となります。
マンモトーム生検

核医学検査

核医学検査
核医学検査室が新設され、SPECT/CT装置(SymbiaT SIEMENS 社製)が新規導入されました。SPECT-CT装置は、ガンマカメラとマルチスライスCTが一体となった最新の装置です。

すべての核医学検査を施行可能ですが、加えてCTを併用することにより、特にガリウムシンチ・骨シンチ・Tl 腫瘍シンチ・肝胆道シンチ・消化管出血シンチ等核医学画像のみでは、集積部位の解剖学的位置がはっきりしない検査に特に有用です。

この装置を用いることで、Fusion画像を作成することが出来ます。Fusion画像とは融合画像のことで、ここでは核医学画像とCT画像を重ね合わせて表示することをいいます。これにより核医学の機能・代謝画像とCTの解剖学的位置・形態情報を同時に表示することが出来ます。
これにより核医学検査の弱点である解剖学的位置情報がCT画像によって補われ、2つの検査のいいとこ取りの結果を得ることができます。
核医学検査2

放射線治療

当院では、放射線治療装置はエレクタ社製のSynergyが稼働しており、治療計画用CT装置はキャノン社製のAquilion Lightningを使用しております。

放射線治療
 

当院の治療装置の特徴


1)画像誘導による放射線治療が出来ることで高精度な放射線治療が行える

Image Guided Radio Therapy(IGRT)
当院の放射線治療装置は、治療ビームに対して垂直方向にkV電圧のX線管球とフラットパネル検出器を装備しており、単発撮影や連続(透視)撮影だけでなく、コーンビーム技術による3次元のCT画像を撮影できる機能を備えています。
この機能により、図3が示すように治療計画時のCT画像と治療時の撮影した画像を重ね合わせることによって、放射線治療中の位置決め誤差を算出することができます。その結果、がんに限局した治療ができ副作用(有害事象)を少なくできます。
放射線治療装置

2)360度回転しながらあらゆる方向から放射線の強度を変えて放射線治療が行える。
(現在は、診療体制により行なっていません)


Volumetric Intensity Modulated Arc Therapy (VMAT)
今回導入した装置は、放射線治療装置を回転させながら、放射線の強さを変化させて放射線治療を行うことができます。この放射線治療方法により、短い照射時間でがんに放射線を集中させ、がんに限局した治療が可能なため、余分な被ばくも低減でき、放射線治療にかかる時間が短縮され、放射線の治療効果も向上が期待できます。
現在、当院で行っている治療は、乳癌・前立腺癌・膀胱癌・直腸癌・緩和治療(骨転移・脳転移)などですが、肺癌や食道癌などのほかの悪性腫瘍に対する治療も可能です。

治療計画用 CT 装置の特徴

当院の治療計画用CT装置は、患者さんへの圧迫感の軽減を配慮されており、心理的な圧迫が少ない780mmのワイドボアとなっております。ワイドボアであることで患者さんのポジショニングが容易に行え、様々な患者さんの治療計画用CTを撮影することが可能です。

現在の治療計画用 CT 装置は診断用 CT 装置としても稼働しており、待ち時間も少なくスムーズに検査が行えます。

体内金属のアーチファクトを低減させる技術の「SEMAR」と、被ばく低減に関する技術の「AIDR 3D」が備えられており、検査を受けられる患者さんために被ばく低減と高画質の両立が可能です。

予約等に関して

全例予約制となっており、毎週火曜日の 10 時より午前中のみの診察となります。お電話でご予約ください。

放射線治療のご要望があれば、放射線治療医の診療日(非常勤・毎週火曜日)に放射線科外来を受診してください。診察の上、治療の適応の有無も含めてご返事いたします。

放射線治療は外来・入院とも施行可能ですが、入院加療が必要な場合は各診療科にご相談ください。

検査を受けられる患者さんへ

放射線科には、様々な画像診断機器が整備されています。こうした高度な医療機器は充分な知識を持った専門家である放射線科医師や放射線技師によって運用され、必要とされる患者さんに、適切に利用されています。
放射線科スタッフ一同、安全で速やかに検査が行われるよう心がけています。
下記の点につきまして、ご理解とご協力をお願いいたします。
 
  • 検査にあたっては、脱衣や撮影部位に合わせたいろいろな姿勢など、ご協力が必要な場合があります。
  • 検査の内容によって順番が前後する場合があります。

疑問や不明な点がございましたら、気軽に放射線スタッフにお尋ね下さい。

医師紹介

第二診療部長

岡田 秀樹(おかだ ひでき)

専門分野
放射線診断
放射線科専門医、臨床研修指導医

メッセージ
放射線科で行なう写真による診断は、多くの疾患で診断の根拠となる重要な証拠です。必要最小限の検査で、正確な診断にたどり着けるよう心がけています。

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